乾いた土地が永遠と広がる、土色のこの大地に空中に浮いているような大庭園。
この大庭園はネブカドネザル大王がただ一人の女性の為だけ造り上げたのだ。
ロマンがある話だ。
山国で育った、愛する王妃を慰めるために、ここバビロンの中心部に巨大な緑豊かな自然庭園を造ったのだ。

rondan-2014-06-07宮殿の敷地の中央部に、縦横400m、高さ15mの高さの土台を築き上げ、その上にピラミッド式に次々と土台を設けていった。

一番上の土台までは110mの高さになった。
各層の土台に何万トンもの沃土が運び込まれ、テラスに沿って花壇がつくられ、果実のなる木や、色とりどりの樹木が植えられた。
ピラミッド型のこの巨大な庭園の頂きにはおおきな貯水槽が設けられ、パイプを通して壇から壇へと絶えず水が流れる仕組みだ。
貯水槽には、ユーフラテス川から巨大なポンプを使って汲み上げられた。
時々、散水器で人工の雨が降らされると、綺麗な虹があちこちに出来たらしい。

これが古代世界の七不思議の一つ、バビロンの空中庭園である。

テラスの内部には、ネブカドネザル夫妻のための美しい部屋が造られていた。
大王と王妃は、ここで虹のかかる豊かな緑の中で生活し、小鳥のさえずりを聞きながら日々を過ごしたのである。


バビロンの空中庭園 Ⅲ