犬の年齢は、人間の年齢の尺度で見ると、1年で20歳、それから4歳づつ歳をとると言われる。
彼が1歳を過ぎた頃から、バイトは雇わず昼は一人で留守番だ。
善悪が解るようだった。しかし、悪い事はする。
悪い事をすると、目を合わさない、呼んでも寄って来ない、僕が怒る雰囲気が解ると物陰に隠れる。
会社から帰ると、彼は下駄箱の下に入っていた。
「何かしたなー」
買ったばかりの革靴が、ボロボロになっていた。
その靴が凄く気に入っていたので、翌日同じ革靴を買って来た。
それから1週間後、又噛まれてしまった。
:意識的ではないと思うが、始めは右次に左を噛まれたので、結局一足は残った事になった。
彼は、犬なのに鼻が悪かった。
いや!単なる馬鹿なのかも知れない。
一緒にいる頃には、すっかり飲み屋にもご無沙汰だが、仕事の付き合いで久しぶりに出た時である。
夜中に帰ったのだが、家の鍵を忘れた事に気づく、裏庭から入れるかもと1mくらいの塀に登った。
横は季節的に水の入った田圃、家の中からいきなり吠えられ、田圃に落ちた。
家に入ると「やってしまった。」という顔をして、頭を下げて目を合わさない。
「普通の奴は、匂いとか、音で主人が解るよ!馬鹿。」
続く!