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夜中フト目が覚める!

ベランダに出ると「月の道」、和倉温泉のビルは、夜中なので部屋の明りが消えて、ビルの形が崩れている。

ゆっくりと椅子に腰掛け、煙草を吸った。

ポチャン!「ぼら」が跳ねたようだ。

この光景をどこかで見たような気がする。

大学の資金を貯める為に、外国航路の船員をした事がある。

高校を卒業した19歳の頃だ。

静岡の田子の浦~アメリカ西海岸、カナダに近い田舎町クスベーを1ヶ月間かけて、紙の元になるチップを運搬する船だった。

大きな船で、甲板はバイクで移動し、アイアンで打っても真直ぐ飛ぶと、ゴルフボールは海には落ちなかった。

チップは、大きな掃除機のような機械で積み込むのだが、時間待ちで沖で停泊して何日か待たなければならない時があった。

その時、クスベーの町の明かりと月の道を見て、寂しさと将来の不安で震えたことがあった。

遠い昔の出来事を懐かしく思い出した。