最終戦の後、両者のコメント
マルク・マルケス選手のコメント
【最終ラップはホルヘとずっと一緒に走っていましたね。ダニはフロントタイヤに問題があったと語っていましたが、あなたも限界の走行だったのでしょうね。】
「序盤はホルヘがとても強くて限界で走っていました。ダニと絡んだ周は最後の2周のアタックに備えてタイヤの温度を冷ましていたのです。でもダニに抜かれタイムを失ってしまい、ホルヘを最後に最終コーナーで抜こうと思ったですけが、リスクも高いしフロントもコントロールを失いそうだったのでね。シーズンを終えるのに2位というのは嬉しくありませんが、来年はタイトル争いが出来るようにしたいと思います。」
ヴァレンティーノ・ロッシ選手のコメント
「遅くなってすみません。レース映像を観ていて…きちんと最後まで観たかったもんですから。いずれにせよ、もの凄いチャンピオンシップでした。僕の戦闘力はずっと高く…特に、開幕戦からタイトル獲得の可能性を築くように努力してきました。獲得できるんじゃないかと思っていたし…そうなって相応しいとも思っていました…通常通りに物事が進んでいた時までは…つまり茂木戦までは、僕は18ポイント差で総合首位にいましたから。しかし、それ以降、誰も予想しなかったことが起き…僕が思うに、このスポーツではこれまで起きたことのない事が起きていったのです。マルク(マルケス)が、僕がタイトルを取れないように…ホルヘ(ロレンソ)のボディガードをすることにしたんですよ。
僕の運命が決まったレースはフィリップアイランドですね。あそこで僕は強かったし、タイトル争いを決めることもできたでしょう…僕はホルヘより速かったですから。あのレースからマルケスは、かなり面倒な態度をとり始めたのですよ。そのことを僕は言ったんですが、セパンでも状況は変わらず…マルクと接触し、彼は転倒してしまった。
木曜日に最後尾スタートが確定した時、こう言う運命なのだなって分かっていました…今日のレースがどんな風になるか、正確に分かっていました。ほんのわずかな期待はありましたよ…もしかしたら最後の最後までは、やらないのじゃないかって。ところがマルクは自分のミッションを最後の最後までやり遂げたかった。」
【今日のレースについては…】
「終盤ラップは本当に重苦しいものでしたね。マルクの方が明らかに速いのに、攻めもせずに後ろを付いて走っていた。マルクと言うのは常に攻めの姿勢のライダーで、終盤ラップは特にそうだし、通常だとはレースの間ずっとそうでしょ。例えば、僕に対しては1周の間に10回もオーバーテイクをかけてきていた。ところが、ホルヘには30周ずっと後ろに付いて走っていた。あとでその映像を観る僕のことを考えながら、楽しんでそうしてたのじゃないのですか…やり方があまりにも明らかでしょ。
終盤はダニ(ペドロサ)でさえ2秒も縮めているのですよ…明らかにマルクがホルヘのペースに合わせて走っていたからでしょ。起きてしまったことは受け入れなければならない…でも、ある意味、けっこう僕は喜んでいるのですよね。今日のあれを見たら、マルクの計画についてもう疑いの余地はない。世間の人達も、今日、何が起きたのかを見ただろうし…ただ、ホンダの態度には、ちょっと驚いているのですよね。あれじゃ、ほとんど自分のところの選手がヤマハに勝たせようとするのを見逃しているようなものでしょ。マルクがやったことで唯一驚いたのは…けっこう底意地の悪いものでもあるけど…自分のチームメイトにしたことですよ…レースの間ずっと、自分はホルヘの後ろに付いて走っていたって言うのにね。
残念ですよ…僕は勝負がしたかった…もしかしたら、普通にやっても負けていたのかもしれないけれど…ホルヘはシーズン後半、最速だったから。それでも、こう言う負け方は本当にわびしいですよ。」
【タイトル獲得が叶わなかったことより、モトGP全体のことを思って余計にわびしいのでは?】
「それは実に気高い考え方だけど…僕はタイトルを取れなかった方が残念です。でも、そう言ってもいいですよね…このスポーツにおいて、八百長が起きたのは初めてのことだから。サッカーのセリエC2レベルの八百長でしょ…もうそれ以上降格しないようなレベルのね。モトGPでこんなことが起きるなんて残念ですよ…いまだかつてないことですから。他の選手を助けるとしたら、せめてチームメイトぐらいでしょ。個人的な復讐のためにするなんて初めてのことだし、とにかく酷い話ですよ。」
【ロレンソ選手がスペイン人同士、助け合ったとコメントしていたが…】
「そう言うチームプレイがあるなんて知りませんでしたね…各選手が自分のために働いていると思っていたんで。特に僕は、セパン戦後のホルヘの態度には腹を立てているのですよ…頻繁にペラペラと喋って。ただ、ホルヘはコースで(マルケスのような事を)やろうとしたことはないと思うし…彼は優秀でしたよ。ただ、コースを走っている時は優秀なのだから…コースの外でもっと賢く立ちまわり、ノーコメントで状況を受け入れていくこともできただろうに。コメントしたってことは、よほど馬鹿なのか…それとも何かやましいことでもあるのか。来年もチームを一緒に組んで行くことにし関しては、特に大きな問題があるとは思いません。現在の僕の問題は、負けたと言うことですから。」
【こう言うシーズン締めくくりになると、来年にも影響する?】
「来年、何が起きるかについては、けっこう懸念しています。マルクのような選手が他の選手に嫌がらせをするためだけに、自分の勝利を捨てたりしようとするわけでしょ…このまま行ったら、最後はどうなってしまうのか。誰も彼に限界を設けることなどできない。今は、それに引っかかってしまったのが僕だったってことが残念で…フェアじゃないでしょ。そのせいか余計に腹が立って…でも、腹が立つより、ちょっと残念でね。こう言う状況を回避することはできたと思いますね…例えば、セパンの前に僕とマルクを招集してくれていれば。ただ、彼のあの態度だと…何かかが変わっていたかどうかは分かりませんが。」
【今日、モトGPの何かが変わってしまった…】
「僕らは常に、こんな風に言いながらモトGPに参加しているのです…『僕らはサッカーやF1とは違う。コースに出る度に全力を尽くし、走り回っている』と。
ただ、今日から何かが変わるでしょ。木曜日に僕は世界選手権のトップ陣に会う機会があって、その時点で、日曜のレースに何が起きるかを話したのですが…『それはありえない』って言われましたよ。しかし、まさに僕の言った通りになったのです。」
【今回、これほどがっかりしたことは、来年、再スタートを切るための弾みになる?】
「正直なところ、僕は自分のやっていることにもの凄い情熱を傾けているのですよ…今日の一件のせいで、今後の予定が変わるようなことはありません。自分の仕事を続けていくし、来年はまた新たな挑戦が待っている…ミシュランや、今はとは違う電制システムで速く走るという挑戦がね。マシンにどっさり手を入れていかないとならないし…だから、そこから始めていきますよ。かなり悲しい気持ちではあるけれど、絶望はしてないので。今年はやるべきだった以上のことを成し遂げられたのでね。」
【マルケス選手が表彰台でブーイングを受けていたが…】
「どうなのでしょうね…いずれにせよ、モトGP界の未来は彼が背負うのだろうし。もの凄い才能があり、22才で…つまり、まだまだずっと走り続けるわけでしょ。ただ、週末の間ずっと嘘を言い続け、レースではあんな操縦をした者でしょ。みんなの邪魔をしていくんじゃないんですか。」
終わり!